今年は2019年以来、実に3年ぶりに鈴鹿8耐が開催されることになった。2019年の8耐をきっかけにモータースポーツ観戦をするようになった僕としては、何としても外せないレースのひとつである。
しかしながら、前回大会では真夏の鈴鹿の暑さでかなり疲れてしまったのも事実である。今回はもう少し暑さ対策を施した上で観戦に臨みたい。
そこで、バイク用品店で見かけて以前から気になっていた冷感アンダーウェアなるものを購入することにした。ツーリングでも使えるし、ひとつ持っておいても損はないはずだ。そんな訳で、ライコランド小牧店までバイクを走らせた。
年末に乗り換えたマシンは初めての水冷エンジン。真夏でも調子良く走ってくれて心強い。
(この写真は別日に友人に撮影してもらったもの)
めんどくさいので細かい説明は省くが、新しいバイクはアプリリアに吸収されて今では無くなってしまったメーカーのパラツインスポーツである。
吹け上がりの良い180度クランクのツインエンジンは約90馬力となかなかのパワー。フロントは国産レプリカを思わせる丸目二眼スタイルで可愛らしい。
重心を下げるために燃料タンクはシート下に設けられており、リアに給油口がある独特なレイアウト。
低い重心は、コンパクトなパラツインエンジンを活かしたホイールベース1375mmという250cc並の車格と相まって、とても取り回しやすいマシンを構成している。イタリアンには珍しいアルミツインスパーフレームは有名なニコ・バッカーの設計(らしい)。
当時のブラックシップ機だったため、なかなか装備も豪華である。オレンジのカラーホイールは名門マルケジーニのアルミ製。ブレーキダストの掃除を小まめにしないとすぐに汚れてしまうものの、かなり目立って格好よく、お気に入りポイントの一つと言える。最近ではヤマハがよくカラーホイールを純正で装備しているけれど、当時としては結構珍しかったんじゃないだろうか。
サスペンションはパイズリみたいな名前のメーカーのもの。正直聞いたことなかったんだけど、90年代のビモータに純正採用されていたメーカーらしいので、きっと良いメーカーに違いない。実際のところ、これまで所有してきたバイクの中で一番動いてくれている感じがする。時に優しく、時に激しく、まるで何か柔らかいものに挟まれているかのようなそんな感覚である。
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さて、ライコランドにて目当ての冷感アンダーウェアを手に入れることができた。選んだのはフリーズテックという商品。
なかなかいい値段がする。これで多少なりとも8耐の暑さが楽になれば良いのだが、まあ、極力薄手の生地で紫外線を防げるだけでも、腕が太陽に焼かれない分マシだろう。
ここで、鈴鹿8耐に話を戻すことにする。モータースポーツはホンダを応援している僕であるが、最近のホンダはmotoGPやSBKでかなり苦戦しており、残念なレースが多いのが事実だ。
8耐事前テストでは好調なタイムを残しているものの、何が起こるかわからないのが長丁場の耐久レースというものである。
微力ながら僕も力になりたいので、ちょっとお祈りでもしておこうかと思い、ライコランド小牧店からほど近くにある「間々観音」という小牧山の麓にあるお寺に立ち寄ることにした。
(お寺の横には結構大きな駐車場が用意されているのでとても便利である。)
なかなか立派なお寺じゃないの、なんて思いながら、軽い気持ちで境内に入った僕を待ち受けていたのは、それはそれはとんでもない光景であった。
おっぱいである。なるほどね。(おっぱいは人が近づくと乳首から水が発射されるシステムを採用している。)
絵馬にもおっぱいが貼り付いている。小4にしてブラインドタッチを身に着けていた伊東君が愛用していたマウスパッドを思い出す。たしかこんなんだった。
いったいなんでこんなことになっているのかと調べてみたところ、間々観音はどうやら安産や子育てに御利益のあるお寺らしい。大昔、貧しくて母乳の出なくなってしまった母親に、とんでもない量の母乳を出させることに成功したというイカれた実績を持っているそうな。
さらにこの間々観音、おっぱいのついでに何故だか交通安全の御利益もあるようである。おっぱいとバイク、丸いものが二つ並んでれば興奮できる僕たちライダーにはうってつけのパワースポットである。
「HRCが優勝できますように。今年も交通安全にバイクに乗れますように。あと、良きおっぱいに出会えますように。」
そんなささやかな祈りを捧げ、パイズリサスのマシンに跨り間々観音を後にした。
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8耐のレースウィークがやってきた。平日から予選は始まっているが仕事で忙しかったので、土曜日から鈴鹿に乗り込む。金曜日までの予選10位以内のチームのライダーが一人づつコースに出てタイムアタックを行うという8耐名物、トップ10トライアルを是非見てみたい。このトップ10トライアル、2019年には台風の影響で中止になってしまっていた。
トップ10トライアルの時間までには結構余裕があったので、各社のブースを見て回ったりする。特に歴代8耐優勝マシンの展示は見応え充分で、人だかりができていた。ヘッドライトによって生まれる表情、ちょっと大きめのタンク、耐久レーサーってやっぱりかっこいい。
他のブースをまわったり、食事をとっているうちに、トップ10トライアルの時間となったが、結局、雨や練習走行時のクラッシュの影響で中止になってしまった。その代わりに、トップ10チームのライダーが一斉にコースに出てタイムアタックを行う計時予選が実施された。計時予選ではHRC長嶋哲太の2分4秒台のアタック、それに迫るカワサキジョナサン・レイの走りを見られたので、なんやかんやで大満足の予選であった。
また、この日はもう一つ楽しみにしていたことがある。そう、ピットウォークである。実は2019年はピットウォークに参加しそびれてしまったのが心残りだったのだが、今年は予選後の夜に実施されるナイトピットウォークなるものに参加してきた。ナイトピットウォークは他の時間帯のピットウォークと異なり、観戦券だけ持っていれば入れるので、気軽に参加することができる。
各チーム渾身のマシンやピットの雰囲気を間近で見られて、翌日の決勝に向けて胸が高鳴る。
チームによってはレースクイーンさんがバイクの傍に立ってくれているので、こちらも注目しておきたいところである。
写りが悪くて申し訳ないのだが、とんでもなく顔が小さく手足が長い。本当に僕と同じカテゴリーの生き物なのだろうか。
さらに・・・。
おっぱいの下1/3がはみ出てしまっている。スゴい、これが下乳ってやつか。長島哲太もジョナサン・レイもカッコ良かったけど、今年の僕のポールポジションは完全にこの下乳に決定である。素晴らしい。
先日の間々観音での祈りが通じたとしか思えない。
観音様、ありがとう。
そんな下乳の興奮冷めやらぬまま、コースの写真など撮りつつそろそろ引き上げようとしたときのことだった。
初開催の1978年から隠し続けられていた鈴鹿8耐のとある秘密に、僕は辿りついてしまったのだ。
完全におっぱいである。そう、8耐っておっぱいだったんだ。なるほどね。(暑さのせいか、3の方が圧倒的におっぱいであることに、この時の僕は全く気が付いていない。)
あのレースクイーンさんの下乳、それは偶然なんかじゃなく必然だったってこと。あの広いサーキットの上でそれに気が付いていたのは、きっと僕だけだったはずだ。
「こりゃあ明日の決勝は一波乱起きそうですな。」
夏の夜空にそう呟いて、僕はサーキットを後にした。
◆◆◆
翌日の決勝は応援していたHRCが序盤からトップをキープしてブッチギリの優勝。moto2でシートを失い、走る場所を失った長島哲太選手の焦燥や悔しさ、そんな想いが形になった輝かしい瞬間だった。長島選手にはまだまだ現役で走り続けて欲しいものである。
その他にも、多くの見所があった中、特に印象深かったのはヨシムラスズキの大逆転劇であった。スズキのEWC撤退が発表されたことにより、今年で最後となるかもしれないヨシムラスズキはチームメンバーのコロナ感染や怪我により二人体制でレースに挑んでいた。
予選ではただでさえ不利な二人体制に加えて悪天候のタイミングが災いしてまさかの22位。しかしながら、決勝では驚異のスタートダッシュと、様々な耐久レースを走り抜いてきた堅実な走りで、最終的に3位表彰台を獲得してしまったのだ。全日本選手権でも応援しているヨシムラスズキの渡辺一樹選手が表彰台に上がる姿が見られて嬉しくなってしまった。
そんなこんなで、3年ぶりの鈴鹿8耐はやっぱり面白かった。見てるだけでも非常に疲れる8時間であるが、それに見合う興奮と熱気が、あのコースには立ち込めている。
来年はいったいどんなレースになるだろうか。
予想は全然できないけど、間違いなく沢山のドラマを真夏の鈴鹿にもたらしてくれるに違いない。そんな期待に、僕は今から胸が、いやおっぱいが膨らむのであった。