残業レコード

あるサラリーマンライダーの栄光と苦悩の記録

伊吹山にこぼれた涙

日曜日を利用して伊吹山ドライブウェイに行ってきた。

伊吹山ドライブウェイは昭和40年の開線以来、伊吹山を登る観光道路として賑わってきた道であり、ネットや書籍での紹介を読んで一度走ってみたいと思っていた。遠いと思い込んでいたのだが、名古屋から高速が空いていれば1時間ちょいくらいで行くことができる。

ドライブウェイ自体は最初こそブラインドコーナーが多いが、途中からは見通しもよく、気持ちのいいワインディングが続く。通行料2千円も取るだけあって路面もよく整備されており、評判通り大変楽しめる道である。

もちろん、冒頭の写真のように山々の連なる景色も素晴らしい。伊吹山の山頂からは関ヶ原と琵琶湖を見下ろすことができる。歴史好きな人は関ヶ原の戦いで散っていった武将達に思いを馳せるのもよいかもしれない。

スカイテラス伊吹山

ドライブウェイの終点は道の駅のような施設があり、食事をとったりテラスから景色を見ながらくつろいだりすることができる。このスカイテラス伊吹山伊吹山の9合目に位置しているので、山頂に行くには少し徒歩で登る必要がある。

この細い道を登っていけば山頂からはパノラマの絶景が約束されているが、ワインディングで疲れた僕は華麗にスルーである。この選択にはあの石田三成も真っ青である。

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絶品ソフトクリーム

フードコーナーではソフトクリームが販売されている。疲れを癒すには甘いものが一番ということだろう。

ここスカイテラス伊吹山ではよもぎソフトとか薬草ソフトとか、そういった変わり種も用意されており、なかなかの人気商品らしい。山のツーリングに来た時にはご当地ソフトを食べるのが楽しみというライダーもいるのではないだろうか。

一方、硬派な僕は、ソフトクリームはバニラ、パフェはチョコと決めているので、迷わずバニラを選んだ。これにはキリシタン大名として知られる小西行長もびっくりである。

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ツーリング先で食べるソフトクリームは格別である。季節が夏ということもあり、あっという間に食べ終わってしまった。

この味を伝えるために、せっかくなので写真をアップしようと思ったのだが、あいにく食べる前に撮るのを忘れてしまったので、今日のところは売店の前にあったソフトクリームのオブジェの写真で我慢してほしい。

よもぎソフトか薬草ソフトを再現しているようだが、伊吹山ドライブウェイの長い歴史とともに経年劣化で色がくすんでしまっていて、正直ウンコにしか見えない。なぜか顔が描かれているが、目の周りの塗装も剥がれてしまい、涙ぐんでいるウンコにしか見えない。これには臨済宗の僧でありながら大名としても名高い安国寺恵瓊もお手上げである。

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伊吹山にこぼれた涙

歴史はいつだって残酷だ。そして、いつの時代も戦いは繰り返される。今回登場した3人の武将は、いずれも関ヶ原の戦いで敗れた者達だ。

世界を見れば、未だにたくさんの命が悲しい争いの犠牲になっていて、今この瞬間にも消えゆく命があるかもしれない。僕らが歴史の授業を学んだのは、あの武将の死に様が格好いいとかそういう話をするためじゃなく、人類が同じ過ちを繰り返さないためだったはずなのに。

時間はその流れの中で、塗装の剥がれ落ちるスピードよりも少しだけゆっくりと、そこに込められていた思いや願いを風化させる。

ウンコのオブジェの瞳から今日も涙がこぼれ落ちた。かつて戦いのあったこの地で、いつまでも変わらない人間達を憂えているのかもしれない。

2019年8月4日