残業レコード

あるサラリーマンライダーの栄光と苦悩の記録

増車の科学

スマホの調子がどうも悪い。バイクに乗るときにはスマホをカーナビ代わりに使っている僕にとっては死活問題である。

バッテリーの持ちが致命的に落ちている。yahooカーナビを使用していると1時間ほどでバッテリーがなくなってしまい、目的地に辿り着けないのだ。古い型なのでバッテリー交換にもお金がかかる上、性能も見劣りするようになってきたため、この機会に機種変更をすることにした。

というわけで、休日を利用して最寄りのソフトバンクショップに足を運ぶ。ソフトバンクショップはいい。何がいいって、店員さんが清潔感があるうえにべっぴんさんが多いのである。ソフトバンクショップもののAVがあれば一本欲しいくらいである。

そんなことを考えながら、最新のスマートフォンの説明を聞いていると、何やらスマホと一緒にタブレットを契約するとなんやかんやで安くなる、という奇怪なプランの説明をしているではないか。

「絶対に騙されている」と思いつつも、加速し続ける情報化社会に追随していく必要性を日頃から強く感じているのも事実である。それに加えておすすめされているタブレットLenovoだ。LenovoといえばMotoGPDUCATIワークスのメインスポンサーなので、直線での通信のトップスピードがヤマハより10km/h以上速いはずである。

そういった様々な要素を勘案して、僕はスマホの機種変更に加えて、タブレットを増機することにしたのだ。決して、ソフトバンクショップの店員さんが重森さと美に似ていて可愛かったからとか、そういう理由ではないのである。

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今回、久しぶりに携帯電話の機種変更にいったわけだが、ひとつ驚いた点がある。それはデータの移行についてである。

僕の記憶の中ではデータの移行といえば、お店にある専用の機械に古い携帯電話と新しい携帯電話を繋いでやってもらっていたはずだ。

しかしながら、この数年間のスマートフォンの発達とともに、データ移行も専用の機械なしで、自宅でケーブルさえも繋がずにできるようになっていたのである。

これには本当に驚かされた。何故なら、128GBのうち約96GBをDMMアプリでダウンロードしたヌルヌルテカテカな動画で占めているスマートフォンの中身をソフトバンクショップの店員さんに見られることを危惧した僕は、ショップの待ち時間の間に泣く泣くDMMアプリを削除していたのだ。

データの移行はどうするのかと質問する僕に、「データの移行は手順書に従って自宅でやってくださいね。」と、重森さと美似の店員さんが優しく説明してくれた。

ソフトバンクショップの外に出ると、まだ少し冷たい四月の雨が降り始めていた。

雨に散りゆく桜の淡い色彩は、僕のスマホから消えていった沢山のピンク色のギガバイトが具象したかように儚く、春の終わりを僕に予感させたのだ。

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◆◆◆

それは先日、滋賀にキャンプに出かけた時のことだった。僕のサイトの隣には世にも珍しいカップルのライダーが来ていた。さらに珍しいことにそのカップルはMoto GuzziのV7とDUCATIのMONSTERに乗っていたのである。

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(レンタルしたスクランブラーではしゃいでいる僕の奥に、ちょうどV7とMONSTERが写り込んでいる。)

仲良く並んだ真っ赤なイタリアンを眺めながら、静かに時間を過ごすその二人は、なんだかとても幸せそうに見えたのである。何故、幸せそうに見えたのか。揺れる焚き火を見ながら、僕は漠然と考えを巡らせた。

オフィスでどれだけ頭を抱えても出てこなかったアイデアが、風呂に浸かっているときや寝る前の布団の中で唐突に思い浮かぶことがある。それはきっと、職場でのストレスからの解放が僕らのシナプスに良い刺激を与えるからに違いない。

自然に囲まれたいつもより少し緩い時間軸。キャンプをしているときの僕の脳みそは完全に日常から解き放たれたと言っても過言ではない。誰かがキーボードを叩く音も、ぶっ壊れるまで印刷を続ける複合機の機械音も、やたらと声のデカい隣の部門の課長もここにはない。

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解放された僕の思考がたった一つの冴えた結論を導き出すのには、そう時間はかからなかった。

「GUZZIとDUCATIの二台があれば幸せになれるに違いない。」

◆◆◆

バイクの二台持ちなんてご近所さんから白い目で見られてしまう、と心配する人も多いだろう。だけど安心して欲しい。

増車といっても、四発一台とVツイン二台は下式に示す仮想仕事の原理が成り立つため、エネルギー領域では等価と言えるのである。すなわち、増車したと見せかけて、実は国産四発とやっと釣り合いの取れた平衡状態になるわけである。

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さて、増車に対する障壁が取り除かれたところで、僕が選んだ車両がこいつである。

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DUCATI SS900ieというバイクである。不等間隔爆発のドコドコ感と細くて軽い車体を追求したVツインスポーツだ。

SS900ieはdesmodueと呼ばれる空冷2バルブの伝統的なエンジンを積んでいる。現行車種ではスクランブラーシリーズに受け継がれており、パワーこそないものの、アイドリングで回しているだけで気分が高揚してくるような、Vツインならではのドコドコ感が得られるエンジンだ。

デザインは999やMH900eで有名なピエール・テルブランチ氏によるもの。個人的にはとてもカッコいいと思うのだが、ヌルヌルテカテカしたカウリングが受けなかったらしく、中古車の相場がかなり低いのも決め手のひとつである。

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まだあまり多く走らせることができていないが、低いハンドルとコンパクトなポジションが無駄にやる気にさせてくれる。ポジションがきついのと、ハンドルの切角が少なめなため、極低速だととても曲がりにくいが、ワインディングではうまくいけばストンと曲がってくれてとても気持ちがいい。

ある程度高い回転数でも、アクセルを捻るとドカドカと唸るエンジンの音と鼓動は、ひとつひとつのシリンダーが大きい大排気量Vツインの特権ではないだろうか。

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とまあ、ここまでいいことばかりを述べたが、納車時はトラブルに見舞われ散々であった。実は今回初めて遠隔地から購入したのだが、運送拠点で受け取ったときにはセルが回らず、おしがけもうまくいかずに納車後即レッカーという事態になってしまった。

幸い、セルスターターリレーが高圧洗浄か何かの影響で死んでいたことがすぐにわかり、2、3日で走れるようになったものの、漫画ばくおん!!のこのシーンを思い出したのはいうまでもない。

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ばくおん!!より引用)

古いイタリアンなんて乗るもんじゃないという人もいるだろう。だけど知ってほしい。「恋は長所を見ること、愛は短所を許すこと」*1 なのだ。

実を言えば、カスタムが長引いているGUZZIが帰ってくるまでの繋ぎとして購入に踏み切った部分もあるのだが、思った通り楽しくて格好良いバイクなので、このまま二台体制というのも悪くないかもしれない。

スマホタブレットの二台持ちなんて無駄じゃないのかと思っていたが、LenovoタブレットはhuluでMotoGPを観るときにはいつも使っているし、容量はとあるアプリで既にいっぱいだ。

かくして、「GUZZIとDUCATIの二台があれば幸せになれるに違いない。」という仮説は無事に証明されつつある。

あの時見かけた幸せな光景と少しだけ差分がある気がするが、きっと何かの勘違いだろう。

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*1:ポエムばかりを発信しているTwitterのアカウントで見かけた最新のポエム。