残業レコード

あるサラリーマンライダーの栄光と苦悩の記録

簡単ジャケットカスタム

バイクに乗る時、僕は割り切っていわゆるバイクウェアを着ていた。ある程度パワーのあるバイクに乗ろうと思うと、プロテクション性能は欲しいし、バイクウェアのレーシーなデザインとスポーツバイクとの相性は抜群だ。

だけど、ちょっとした街乗りや目的地での滞在などを見据えたとき、カジュアルウェアだったらなあ、と思うことが正直なところあるのも事実だ。

そんなことを考えていたタイミングでこんなアイテムを見つけた。HYODのインナープロテクターシャツである。

コレを着た上にカジュアルウェアを重ねることで、ある程度のプロテクションとカジュアルさを両立できるという代物である。HYODお得意のD3Oプロテクターは比較的薄手で柔らかいので、インナーに仕込むのにも適している。

ジャケット一着買えるんじゃないかという価格設定が難点だが、思い切って購入してみることにした。バイクに乗る時間やツーリングの目的に合わせてインナープロテクター+カジュアルウェアという選択肢が増えるのはかなり大きい。

バイクに合わせるカジュアルウェアの代表格といえば、真っ先に思い浮かぶのはライダースジャケットだろう。そして、ライダースジャケットの次にポピュラーなのはオイルドコットンのモーターサイクルジャケットになると思う。バブアーやベルスタッフなどが何十年も作っている昔ながらのデザインで、僕はこちらが好みである。欧州車には抜群の相性だ。

ライダースジャケットもモーターサイクルジャケットも伝統的な定番デザインであるため、普通に着ていると結構人とカブる。そこで、簡単にできるカスタムを実践してみることにした。

ピンバッジカスタム

まずは手持ちのジャケットを用意する。今回は写真のオイルドコットンのモーターサイクルジャケットをカスタムしていく。

まずはコイツにピンバッジを付ける。ピンバッジは古着屋さん等で購入できるが、現代っ子なのでヤフオクとメルカリで調達してしまう。「ヴィンテージ ピンバッジ」や「バイク ピンバッジ」等で検索すると山ほど出てくる。

(探せばもっと安いのも見つかる。)

ピンバッジはある程度の数がある方が様になるので、基本的に安い物を狙って質より量を稼ぐ。どこかの高校のバッジとか、日本語がガッツリ書いてあるご当地ピンバッジは避けた方がよいだろう。

バイクメーカーやパーツメーカー、車体そのものなど、モーターサイクル感の強いピンバッジも結構見つかるので極力そういったものの中から選んでいく。海外オークションなどまで広げれば、自分の車体のピンバッジも作られていたりするので、コストはかかるが狙い目だ。

ピンバッジを手に入れたら、あとは適当なバランスでポケットに取り付けるだけ。ある程度数があったほうがいいと述べたが、ジャラジャラ付け過ぎるとパンクの人みたいになってしまうので、ポケットあたりにいくつか付けるぐらいが無難だろう。

ザッピングしている中で好きなアニメキャラクターのバッジを見つけても、勢いで購入しないように注意が必要である。僕たちが考えている以上に、女性ウケがあまり良くないようだ。

ワッペンカスタム

ピンバッジだけでもなかなか格好良くなるが、さらに定番のカスタムがワッペンである。ワッペンもヤフオクやメルカリで調達可能だ。ビンテージテイストの洋服屋さんがオリジナルワッペンを出しているケースもあったりする。

今回はAMA全米モーターサイクル協会)のワッペンを入手したのでこちらを使う。「お前のバイクイタリア製だろ」「あんたバカア?」などと思われるかもしれないが、僕のバイクはAMAのレースでMOTO GUZZIを駆って活躍したプライベーターが開発に関わっているという経緯があるので、そのストーリーを汲んでのチョイスである。

デッドストック品ということでかなり綺麗だが、ジャケットが結構やれた雰囲気を出しているので色味が少々合わない。そこで、家庭用の染料を使って軽めに染めてみることにした。使用するのはDYLONプレミアムダイという商品。

色褪せたTシャツとズボンを染めてみようと買っておいたものがあるので、ついでにワッペンも染めてしまう。コイツを説明書にしたがって6リットルのお湯に溶かす。

この黒いドロドロにワッペンを浸して少々待つ。染まりすぎないように数分とかそのくらいでいいだろう。意外と高かったので絶対失敗したくない。

やり過ぎた。AMAが闇の組織のようになってしまった。人類補完計画とか計画してそうな感じだ。

フェルトワッペンだったので染み込みやすかったらしい。幸い、まだ浸したばかりだったので、急いで石鹸で手洗いしてなんとか落とすことができた。

少しムラがあるがいい感じである。排ガスやホコリでくすんだような表情に近づけることができた。

汚し加工が終わったら次は遂に取り付けである。ワッペンは裏面に糊が付いていてアイロンで貼り付けられるものが多いが、このワッペンには糊は付いていない。

まあ、糊があったとしてもオイルドコットンにはうまく付かないと思うので、結局は縫い付ける必要がある。裁縫が得意な人やミシンの扱える人は自分でやるとよいだろう。

僕も取れたボタンの縫い付け等は自分でやるが、表にステッチが出てくるとなると自信がない。そう、今回は失敗が許されないのだ。

僕のように裁縫に自信がない場合は、仲のよい良い女友達、彼女、奥さん等に頼むという選択肢がある。大切な友人やパートナーの頼みであれば、きっと快く引き受けてくれるはずである。

上記に該当する女性関係を築けていない場合は、実家のお母さんに頼むという手がある。ただし、「そのワッペンカッコいいね!どこで付けたの?」みたいな質問をされたときに格好がつかないので、できれば避けたい最終手段である。

さて、なんとかしてワッペンを取り付けるとこのような感じになる。ワッペンの取り付け位置はポケット、ポケットの上のあたり、袖の肩よりちょい下あたりが定番である。ただし、ライダースジャケットやモーターサイクルジャケットは大抵裏地があるのでポケットに付けるのが一番簡単だ。

ワッペンについてもピンバッジ同様、あまりベタベタと貼り過ぎるのはおすすめできない。バイカーというよりミリタリーっぽくなってしまったりワークウェアっぽくなってしまう危険性が高い。

ピンバッジ・ワッペンカスタムはかなり簡単にモーターサイクル感を演出できる上、単純にピンバッジやワッペンを探すのも楽しい。子供っぽく見えてあまり好きじゃない、という意見もあるが、まあその辺は自己満足の世界だ。

おっと、ワッペンの取り付けを人にお願いした場合はお礼を言うのを忘れてはならない。伝えたいことはちゃんと言葉にする、それが大人の男ってもんである。もちろん、僕もお母さんにちゃんとありがとうと伝えた。